第22回入賞作品
課題
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近代以降の建築において、ガラスは欠くことのできない素材である。
光を透過させるという特性から、外装を構成する上で主要な役割を担ってきたが、その美学は、ミース・ファン・デル・ローエのドローイングによって、シャープで、透明感に溢れ、冷たい輝きを放つといったものとして比較的早い時期に規定された。以来、建築におけるガラスの放つイメージの規範となり、基本的には更新されることもなく、未だガラス建築の多くはその呪縛から逃れられない状況にある。
この間、エンジニアリング的にガラスはその脆弱性を乗り越えて構造体として利用されたり、耐熱性能を改善させたりといった種々の改良が見られるものの、美学自体が更新されることがないため、ガラス建築が新たな模索の段階にあると言える。
ここではそのような問題意識から、たとえば「冷たい」といったステレオタイプなガラスのイメージを更新するような、新たな美意識の提示を求めることにした。
題材は、原初的にして究極的建築ともいえる「家」として、「ガラスの家」の提案を求めることにした。その前に冠した「あたたかい」という言葉は、新たなガラスの美意識を求める姿勢の表れとして捉えて欲しい。タイトルそのままでも、あたたかいという言葉をさらに拡張した上でも構わない。新しいガラスの美学を切り開く「あたたかいガラスの家」を提示してほしい。
- B.作品例部門
- ガラスブロック、ネオパリエ、ファイアライト、グラソア、ベルーナ、LXプレミアム、見えないガラス、Lamion、その他日本電気硝子製品を使用した建築物
審査委員
- 審査委員長
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- 山梨 知彦
- (株式会社日建設計 執行役員 設計部門代表)
- 審査委員
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- 藤本 壮介
- (藤本壮介建築設計事務所 主宰)
- 菅 順二
- (株式会社竹中工務店 執行役員 設計本部長)
- 大浴 成一
- (日本電気硝子 執行役員 コンシューマーガラス事業本部 本部長)
- アドバイザー
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- 馬場 璋造
- (建築評論家)
(敬称略)
A.提案部門 (応募登録数 764件/応募作品数 256点)
最優秀賞
優秀賞
入 選
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作品名おおきなガラス玉のある家
赤池 伸吉
芝浦工業大学大学院
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作品名風化されゆく家
倉員 香織
九州大学
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作品名ガラス基礎の家
篠原 慶直
フリーランス
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作品名キルンキャストによるかたまりのガラス窓
平山 健太(芦沢啓治建築設計事務所)・中村 猛(北園空間設計)・御所園 武(大成建設)・田渕 奈央(日本放送協会)・志村 洋樹(大林組)・上村 昂平(キヤノン)
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作品名Inside The Glass
木村 貴将
工学院大学
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作品名Self-Container
佐々木 類
富山ガラス造形研究所
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作品名漁村集落の被膜
関根 卓哉・五十嵐 大輝・岡武 和規
東京理科大学大学院
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作品名在り触れるガラス
廣田 竜介
立命館大学大学院
(敬称略)
B.作品例部門 (応募登録数 222件/応募作品数 167点)
最優秀賞
優秀賞
入 選
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作品名Rich Communication House
髙原 浩之・髙原 幸子・Hugo Fromell
株式会社 HTAデザイン事務所
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作品名八王子エルシィ
― ガラスブロックを組み込んだ耐震壁 ―小澤 春美・小川 洋行
小澤春美建築設計株式会社・株式会社 奥村組
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作品名柔らかな優しい境界
佐藤 宏尚
株式会社 佐藤宏尚建築デザイン事務所
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作品名アメリカン スクール イン ジャパン フェーズ Ⅱ
丹下 憲孝
丹下都市建築設計
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作品名Hachiman-Complex
小島 広行
株式会社 デ・ステイル建築研究所
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作品名大野学園(廿日市市立大野西小学校・大野中学校 小中一貫教育推進校)
谷越 博・三岡 裕和・勝山 聡美
株式会社 日総建
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作品名道頓堀川遊歩道(太左衛門橋~相合橋区間)
小西 弘朗
パシフィックコンサルタンツ株式会社
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作品名僕の小部屋
山之内 裕一
山之内建築研究所
(敬称略)
※作品の内容については月刊「新建築」2015年11月号において発表しました。
※所属先および役職は受賞当時のものです。