ブックタイトル環KAN建材ニュース78

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概要

環KAN建材ニュース78

 「インテリジェント・オフィス」、「オフィス・ルネサンス」という言葉が使われ始めた1980年代半ば、イトーキもバーテブラチェアといった名作を世に送り出し、より良いオフィス環境のニーズに確かな手応えを感じていた。一方、当時のオフィス家具のショールームは「自己主張だけにとどまり、お客様のニーズを引き出す要素に欠けている」という反省があったという。これからのショールームに求められるのは、お客様と企業文化を語ることができるプレゼンテーション機能――そこから「オフィス家具が実際に使われている様子を全館で見せるビル」が生まれた。 イトーキ大阪ニューオフィスギャラリーには、超薄型コンパクトエアコンによる床下空調システムや配線を露出させない湿式工法から乾式工法へ、先端技術と施工精度の勝利。フリーアクセスフロアといった現在のインテリジェントビルの先駆となる先端技術が導入された他、四半世紀以上経ってもこれほど大規模かつ繊細な施工例はないと思わせるのが、大らかな曲面を描くガラスブロックのカーテンウォールだ。工程上の労力の半分をガラスブロックの外装工事に注ぎ込んだとされるほどで、湿式のモルタル仕込み在来工法からステンレス目地仕上げによるプレファブリケーションの乾式工法へ、工法や生産体制そのものの開発から始めなくてはならなかった。たとえば、外壁に不可欠な防水性。雨水を浸入させない目地が必要だったが、シーリングで隙間や孔を完全に封止することは現実的ではない。そこで、外部と目地内の気圧の差をなくす(等圧にする)ことで水の浸入を防ぐ「等圧排水方式」が打開策となった。このように、ガラスブロックや目地、パネルの水密性・防水性・安全性の課題を解決するため、15回もの仕様変更、5ヵ月以上の時間を要し、建築現場としては異例の数mm単位精度をクリアして、初の試みである「乾式工法のガラスブロック等圧カーテンウォール」が実現した。 ガラスブロックとステンレスフレームが醸し出す柔らかな存在感は、竣工から27年を経た今も変わらない。設計を担当したのは、当時、弱冠25歳だった日建設計の大谷弘明氏。開発されたばかりの乳白色のガラスブロック〈オパリーン〉を大胆に使い、そのポテンシャルを引き出した立役者に語っていただこう。15 KAN78