ブックタイトル環KAN建材ニュース78

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概要

環KAN建材ニュース78

 試験勉強を始めて間もなく青木さんから電話をいただき、「表参道にある大型美容院のインテリアをやらないか」と。独立後の初仕事です。 普通、建築とインテリアは別物と考える人もいる。私は青木事務所で、通常の住宅よりも細やかなインテリアの設計が求められる大きな別荘の設計を経験していたので、インテリアの設計に対して身構えることはありませんでした。いつも建築もインテリアも同じようなスタンスで考えています。 私にとって、建築は「もの」ではなく「、人間の経験の束」。建築という体験をつくる――そんな想いが強いです。動線に従ってストーリー性を考え、空間として展開する。建築全体であれ、インテリアであれ、ファサードであれ、どこに関わっていてもストーリー全体の一部として考えています。さまざまな状況を内包する状況をつくりたいのです。 また、建築を「現象」だと捉えてみる。現象を引き起こしているのは物質ですが、現象自体は「もの」ではありません。現象は、状況さえ整えば、ずっとあり続ける。建築が「もの」ならどんどん劣化していつかは無くなりますが「、現象」として捉えれば、時間軸の概念を外すことができます「。現象」は建築に自由度を与えてくれるものだと思っています。未完成な者にもチャンスを与えてくれる人なんです(笑)。 お試し期間のファサードデザインの課題を経て、すぐに住宅を任されました。青木さんがいいと言ってくれる案が出るまで、1日1案を図面と模型で見てもらうのを1ヵ月続けました。家に帰れなくても眠れなくても、これで青木さんに認めてもらえないとクビになる…必死でした。おかげで、1日1案は出せる自信がつきましたね。現場の打合せも誰も付いてきてくれず、1人で行く。専門用語がまるっきり分からなくて、ひらがなで書き留めておいて後で調べていたくらいです。 青木事務所には4年で卒業するルールがあり、私も卒業しましたが、まだ26歳だった。1人で仕事をする気はあまりなく、とりあえず一級建築士の資格を取ることにしました。建築は「もの」ではなく、「人間の経験の束」。五穀屋( 静岡県)BLANC( 兵庫県)アンリ・シャルパンティエ 芦屋本店( 兵庫県)04