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2025.04.25

デンキガラス建築探訪

ファイアライト採用例:カンデオホテルズ 熊本新市街

熊本城からの
景観を損なわない高さ設定

「カンデオホテルズ熊本新市街」は、熊本市が推進している「まちなか再生プロジェクト」の "高さ基準に係る特例承認対象建築物の拡充" の第一号物件として、海抜55mまでだった高さ基準を超えて建設することが認められました。

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海抜55mまでだった熊本市の高さ制限を超えることを許された、特例承認第1号。
熊本城からの 眺望を配慮して地上12階、海抜59.74mとなった。

そのため、どの程度の高さまで建設する事が相応しいかを熊本市と協議することとなりました。熊本のランドマークである熊本城から新市街への眺望を阻害することなく街並みに融合し、阿蘇の山並みまでの景観を守るためには、あまり高く建設を行うと新ホテルが悪目立ちをして、せっかくの景観を損ねてしまう恐れがありました。

そこで、熊本城から撮影した市街地の画像にCGでホテルを合成し、何度も検討を重ねた結果、街並みと調和する海抜59.74mの高さに決定しました。
また「まちなみ再生プロジェクト」では災害の避難所としても活用できる空地を設け、市民の憩いの場として開放して賑わいを創出することがガイドラインで示されています。そこで敷地面積の28%を公開空地とし、ホテルの北側にある商店街からもスムーズにアクセスできる緑溢れる歩行空間としました。


レストランからの眺めを、
ファイアライト®がより鮮明に

「カンデオホテル熊本新市街」は、高さ基準緩和の第1号であることから当面の間、熊本新市街地区で一番高い建物となります。その優位性を活かして、最上階である12階にラウンジや露天風呂付きの大浴場などの共用部を設けることにしました。ラウンジとサウナはガラス張りで、ともに宿泊客以外にも開放する計画だったことから、多くのお客さまに熊本城の美しい姿を眺めていただけることになります。

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熊本城を臨む朝食会場。
ファイアライト®と三協アルミのARM-Sがうまく融合し、スタイリッシュな空間に。

その眺望をよりすっきりと見せてくれるのがファイアライト®です。
実はコストを抑えたいという施主からの要望もあり、計画当初は網入りガラスを使用する予定でした。
しかし新市街地区一番の高さからの自慢の眺望が、網入りガラス越しでは気分よく楽しんでもらえません。
そこで別でコスト全体を押さえつつ全体コストは大きく変わらないよう提案したことが認められ、ファイアライト®を採用することができました。

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ホテルが開業した現在、ラウンジからの眺めがとても好評だと聞いています。
1〜2階の商業施設を含めホテル全体でガラスを使用していることから、外観をスタイリッシュに見せるためにも網入りガラスではないファイアライト®は不可欠な防火ガラスでした。デザインを主としている私たちにとっても、良い仕事ができたと自負しています。

取材協力/コイケデザインワークス
岡本慎太郎様


カンデオホテルズ 熊本新市街(熊本県)

建築設計:コイケデザインワークス
施  工:光進建設
写  真:鳥村剛一写真事務所
使用製品:ファイアライト(Low-E 複層ガラス)

※本記事は「環84号(2023年発行)」の記事を再掲したものです。
※本誌はこちらからご覧いただけます。

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