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2025.06.06

デンキガラス建築探訪

ファイアライト採用例:Hotel Rakuragu


オーダーはひとつ、
「他にはないユニークなものを」

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私たちが設計した大山初里(OriginVilla)という中国農村部の宿泊施設が印象的だったとのことから、今回のオーナーよりお声がけいただきました。
ご要望は、" 宿泊したお客様から「もう一度泊まってみたい」と思っていただける、普通とは異なるユニークなホテル"。
敷地がわずか25坪(83.47㎡)というかなりの狭小地で面積に制限があり、さらに、ビルがひしめき合う東京の都市部に位置しているなどの厳しい条件から、いかに狭さを感じさせず、開放感を感じてもらえる空間をつくれるかが大きな課題となりました。

まず、廊下の柱を細めて、その分、スパンを4 mに狭めることで強度を保ちつつ柱を壁の中に納めたことや、避難経路をユニットバス経由にするなどの工夫によって部屋のスペースを確保しました。
客室面積が取れない中で敢えてバルコニーを設けましたが、空間にゆとりをもたらし、また、よくある四角形ではなく三角形バルコニーを採り入れたことで室内を少しでも広く見せています。

都心の密集地なので、近隣の建物から見えない位置だったり周辺環境の抜けがいい方向だったりと、都市の隙間からの視線とプライベート空間を確保することを念頭に置きつつバルコニーを配置したことで、建物外観はさながら豆腐を切ったような象徴的な造形となりました。




網のないクリアなファイアライト®が
開放感を演出


客室ですが、部屋のコーナーにやわらかなアールをかけたことで自然光が連続して部屋の奥まで届き、平米数以上の広がりをゲストに感じていただいています。また、洗面スペースは壁で間仕切るのではなく、機能面・意匠面に配慮しつつコンパクトにまとめて部屋と一体化させたことで閉塞感を回避しています。

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※画像をクリックすると別ウィンドウで拡大します。


防火設備という点においては、ファイアライト®を採用したことで外の開放感をより感じられるようになったと思います。網のないクリアな防火ガラスでも存在感があるものですと、どことなく区切られたイメージを与えますが、より透明な印象を受けるファイアライト®のおかげか外と中の空間が遮断されずにつながりを上手に持てていると感じます。

今回はインテリアをグレー系でまとめていますが、この色は多用すると暗い雰囲気になってしまいがちなので、外装は少し黄色味を帯びた白い塗装で整えました。それが結果としてファイアライト®の温かみのある優しい色味とも調和し、とても良い雰囲気をつくり上げることができました。

取材協力/ kooo architects(小大建築設計事務所)
小嶋伸也様、中村靖怡様


Hotel Rakuragu(東京都)

建物名称/Hotel Rakuragu
設計/小大建築設計事務所
施工/日向興発
写真/堀越圭晋 / エスエス
使用製品/ファイアライト® ネオ

※本記事は「環85号(2024年発行)」の記事を一部修正のうえ再掲したものです。
※本誌はこちらからご覧いただけます。

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